アラスカンマラミュートの莱夢のものがたり「第37話 莱夢と避妊手術」です。

アラスカンマラミュート Prime Snow 〜莱夢といた日々〜

 第37話 莱夢と避妊手術 

 莱夢を繁殖しないと決めたときから、「いつ避妊手術を受けさせるか?」という問題が生まれた。正直、私は消極的だった。健康な莱夢の身体に、全身麻酔というリスクを犯してまで手術をするべきなのか?ホルモンバランスが変わるので、莱夢の体質も変わるだろう。そしてもう、ドッグショーには出られない・・・。私と莱夢が尊敬し、信頼を寄せている神奈川のT先生も、どちらかというと消極的だった。莱夢はすでに6歳を迎えている。決して若くはない。大型犬の6歳は、小型犬の6歳とは違うのだそうだ。年齢を重ねれば重ねるほど、手術のリスクは高くなる。でも、私には恐れていることがあった。莱夢はヒート(発情)の間隔が不規則で短い。それは黄体ホルモンのバランスが悪いのだと思う。T先生からは、「子宮蓄膿症になりやすい傾向」と言われていた。

 子宮蓄膿症は、発見が遅れれば生命を落とす可能性がある病気だ。莱夢が子宮蓄膿症になったとき、もしも発見が遅れたら?発見が早くても、莱夢が手術に耐えられない年齢だったら?莱夢が、助からなかったら?私は、いったいどれだけ後悔の涙を流すのだろう。どれだけ莱夢に謝っても、泣いても叫んでも、時間は戻らない。莱夢は帰ってこない・・・。ならば、莱夢が6歳のうちに避妊手術を受けたほうがいいのでは?莱夢は、いつでも自由に遊びに行ける身体になる。子宮や卵巣の病気の心配もなくなる。莱夢との穏やかで幸せな時間が、あと何年続いてくれるか判らない。だからこそ、できるだけ健康に過ごさせてあげたい・・・。迷いながらも、莱夢の避妊手術は2005年の12月上旬をターゲットに決まった。

 しかし、私たち家族の中では、やっぱり迷いがあった。せめて、本部展(アジアインターナショナルドッグショー)で引退させたい・・・。私の勝手なエゴだということは判っている。でも、やっぱりどこかで踏み込めない自分がいる。莱夢のヒートの間隔からすると、本部展の直後ならばヒートが終わって2ヶ月ほど開くはず。まだ暑い季節でもない・・・。そんな理由を付けて迷っているうちに12月は半ばをすぎ、12月22日には、早くも莱夢にヒートが来てしまった。このヒートは、あまりに間隔が短くてまったくの予想外だった。行くはずだったスノーハイキングも、ハイジの里もキャンセルとなった。このペースだと、次回のヒートは予想がつかない。本部展に重なる可能性もある・・・。やがて私自身の妊娠が発覚し、本部展への申し込みは断念することとなった。莱夢の避妊手術はどうするか?今回のヒートが終わって2ヶ月開けた、3月にするか?それとも・・・。迷い、揺れ動く私がいた。

 莱夢の変化に気づいたのは、2006年2月9日のことだった。この5日ばかり、莱夢の食欲が落ちている。食べムラがある莱夢なのであまり心配していなかった。でもそれは、莱夢の中で恐ろしい病が広がっている前兆だった。