アラスカンマラミュートの莱夢のものがたり「第24話 ウレシハズカシ ドッグショー」です。

アラスカンマラミュート Prime Snow 〜莱夢といた日々〜

 第24話 ウレシハズカシ ドッグショー 

 はじめて参加したドッグショーが、日本で一番大きな規模の「アジアインターナショナルドッグショー」だったから、変な度胸が付いてしまったのかもしれない。マナーもルールもよくわからないまま、私と莱夢は近場のドッグショーに参加するようになった。誰が見ても、バリバリの新米オーナーハンドラーだった私。赤面ものの失敗や、穴があったら入りたい恥ずかしい出来事もたくさんあった。今回はそんなエピソードを紹介しよう。

(1)莱夢、放送で呼び出される
アラスカンマラミュート 画像 アジア展ですっかりいい気になっていた私は、近所で開催されるドッグショーに、友達と一緒に申し込むことにした。それは、2001年4月28日の「平塚愛犬クラブCH展」だった。アラスカンマラミュートの牝の出陳は、莱夢を含めてたった2頭。莱夢はブリード審査で勝ち、「ベスト・オブ・ブリード(BOB)」となった。つまり、「アラスカンマラミュートの牝の代表」になった訳だが、私はイマイチその意味がわかっていなかった。なんせ前回のドッグショーでは、ヤングアダルトクラスの1席・・・。そこから先の賞なんて考えてなかったし、何をすればいいのかも理解していなかった。
 アジア展を思い起こすと、次は確か各犬種のグループに分かれて審査していたはず。莱夢の次の出番なんて、まだまだ先だろう・・・。などと勝手に思い込み、莱夢と一緒にショー会場から離れたところで散歩を楽しんでいた。やがて放送が聞こえてきた。どうやら誰かを呼び出しているようだった。私は、「はて、迷子の呼び出しかなぁ?」と聞き流して、「さて莱夢、そろそろ戻る?」などとのんきに会場に向かって歩き出した。また放送が入った。今度は会場に近かったので内容がはっきり聞こえた。「アラスカンマラミュート牝の代表の方、至急リングまでお戻りください!」へぇ、マラミュートの牝の代表だって。どんな子が代表になったのかしら・・・・。いつかは莱夢もそんなふうに・・・。あれ?いや、待てよ!?牝の代表犬って、もしかしてもしかしたら、莱夢のことじゃない?!
 間違いなく、その放送は莱夢を呼び出していた。FCI展連合会展と違い、クラブ展は規模が小さく、審査の仕組みも違っていた。BOBの選出が終わると、次はそのまま各BOBの中からエクセレントグループを選出する審査に入るのだった。
 さっきまで小さく区切ってあったリングは、仕切りがすべて取り払われて、ものすごく広いものになっていた。そこに、50頭を超える犬達が整然と並んで、大きな「輪」をつくっていた。各犬種のBOBがずらりと並んだ姿は圧巻!そのリングサイドに駆け込んだ私は、スチュワードに誘導されて、ギリギリで柴犬の後ろに並ぶことができた。(EXG選出時は、犬種のグループごとに順番に並ぶ)そのときの周りのハンドラーさんたちの目線が冷たいこと・・・。刺さるような冷たい目線を受けつつ、小さくなって必死に莱夢をスタックさせた私だった。本当に迷惑かけてごめんなさい・・・。莱夢は途中から走りっぱなしだったので、そのままの興奮が収まらないらしく、ちっともジッとしていてくれない。いくらスタックしても、すぐに動いてしまうのだった。それが前後の出陳犬の気持ちを散らしてしまったようで、さらに申し訳なくて困惑する私だった。個別審査でも、莱夢はダッシュするような勢いでリング内を走った。ハンドラーの私よりもかなり前を・・・。もぉ、一体感も調和もない走り・・・。もちろん、莱夢はEXGに選出されるなんてことはなく、そのままショーを終えたのだった。
 教訓。ドッグショーの審査の仕組み、スケジュールは、キッチリと把握するべし。


(2)莱夢、リングでお腹を見せる
 ドッグショーも3回目となる、2001年5月5日の「東京西クラブ連合会CH展」でも、莱夢はちょっとした笑い(?)を取った。この日もアラスカンマラミュートの牝の出陳はたった2頭。莱夢はブリード審査で順調に勝ち、BOBとなった。今回はクラブ連合会展なので、犬種ごとのグループに分かれて、グループ代表犬を選出する「グループ選」があった。
アラスカンマラミュート 画像 グループ選とは、各ブリード選を勝ち上がってきた第5グループ犬種(ハスキーやポメラニアン)のBOB(犬種代表犬)から、1席犬を選び出し、ベスト・イン・グループを決めること。同じリングに立つ第5グループのBOB達は、へなちょこでど素人な私と莱夢には遠く及ばない、洗練されたショードッグだった。
 そこは図太い神経の私と莱夢だったので、まったく臆することなくリングに立った。3回目にして気が付いたのだが、どうやら莱夢にとって「ドッグショーは特別でもなんでもないもの」らしかった。緊張感もなくかなりリラックスしているんだから驚きだ。リラックスしてるのがいい方向に向けばいいのだが、今回はなんとも情けない結果を生んだ。審査中、莱夢は座り込んで首のあたりを「カシカシ」と掻いたのだ・・・。「あ、まずい!」と焦った私は、チョンと軽くリードを引いて「いけないよ」と合図を送った。ところが、その合図で莱夢は「なあに?」とばかりにゴロンと横になり、そのままお腹を見せて「撫でて〜」とアピール・・・。ギャラリーの笑う声がはっきりと聞こえた私。恥ずかしさで耳まで真っ赤になりながらも、「まぁ、愛嬌があって莱夢らしくていいか」と苦笑い。
 教訓。ショードッグたるもの愛嬌もいいが、やはり毅然としているべし。


(3)莱夢、リング内でウンチをする
 ドッグショーにもだいぶ慣れた2001年11月10日の「FCI東京インターナショナルドッグショー」で、莱夢は決定的な笑い(?)をとった。もぉ、思い出すのも恥ずかしい・・・。その日の会場は東京ビッグサイト。私は、どぉも室内会場が苦手だった。理由はパドックが狭く荷物の搬入が面倒くさいから・・・。また、莱夢のトイレに行くのに、いちいち狭いパドックを抜けて会場から出なくてはならないのが嫌いだった。さいわいにも、莱夢は朝からウンチもオシッコもちゃんと済ませてくれて、あとはリングに出るのを待つばかりの状態だった。
 その日、アラスカンマラミュートの牝の出陳は、莱夢を含めて3頭。うち1頭はチャンピオン犬だったので、莱夢と直接対決する子は同じアダルトクラスの1頭だった。リングサイドでゼッケンを確認してもらい、入場を待つ。対戦相手のアダルクトラスの牝は、いくら呼び出しをかけても来ないらしい。5分以上も待っただろうか?結局、相手の子は欠場扱いとなり、莱夢1頭のみでアダルトクラスの審査に望んだ。この妙な間がいけなかったのか、莱夢のお腹具合が悪かったのか・・・。
 審査員の指示で最後のラウンドをしているときだった。ふいに莱夢が歩みを止めようとした。私はリードを軽く引き、「おいで」と合図した。かろうじて莱夢は私の横を走りはじめたのだが、コーナーを曲がって少し走ったところで、ふたたび立ち止まってしまった。「どうしたの?」と振り向いた私と、困った顔で踏ん張る莱夢の目が合った。「???」私は莱夢が何をしているのか一瞬理解できなかったのだが、どっと沸いているギャラリーと、莱夢の歩いた箇所に落ちている茶色い物体とを見比べて、「ウンチしちゃってる!!」と、やっと気が付いたのだった。どひゃーーー!どうしよう!!莱夢は出すものを出してスッキリしたらしく、るんるんとリングを走っていく。「ああ、ウンチどうしよう」と、オロオロしながら莱夢に引かれて(?)審査員の前まで走る私の目に、莱夢のウンチを拾ってくれている友人の姿が映った。審査員の前にたどり着くと、思わず泣きそうな顔で「ウンチしちゃいました」と意味もなく報告してしまった私。審査員はつとめて冷静に、そしてそっけなく、「いいんですよ、別に」と言って1席のロゼットを渡してくれた。その後、チャンピオンクラスの子と並んでBOB審査に入ったのだが、私は頭の中が真っ白でそのときのことを覚えてない。
 ショーが終わったあとでブリーダーさんに報告すると、「莱夢はたいした度胸ね」と笑ってくれた。もちろん、好ましいことではないけれど、退場を食らうようなマナー違反でもなかったようだ。この事件依頼、「ビッグサイト」というと「莱夢がまたウンチするんじゃぁ・・・」と、ちょっと不安になった。でも、最近はすっかり開き直り、「出物腫れ物ところ嫌わず!目くそ鼻くそを笑うだ!わはははは!!」と、あまり気にしなくなった私だ。
 教訓。審査前にはキッチリトイレを済ませるべし。